【RakutenEXPO 三木谷浩史社長〈講演要旨〉】「楽天は世界の一等地になる」

 楽天は7月26日、出店者向けの夏季のビジネスイベント「RakutenEXPO(ラクテンエキスポ)2017」を東京で開催した。東京を皮切りに、大阪、福岡、札幌でも開催していく。三木谷浩史社長は「楽天が世界の一等地になる」とグローバルな視点でマーケットプレイスとしての価値を高めるビジョンを語った。三木谷社長の講演要旨を紹介する。


■ブランドを特別なものに

 楽天の現状を見てみるとグローバルで会員数は11億人、カードなどを含めた取扱高は1000億ドル、日本円で13兆円になった。
 国内の会員数は9000万人、国内の楽天市場やトラベルなどマーケットプレイスの取扱高は約3兆円ある。
 事業を成長させるには、「ブランド」「会員」「データ」が重要だ。「ブランド」は簡単に覚えてもらえない。楽天というブランドで店舗の元までユーザーの道先案内をすることが重要だと考えている。
 今回のイベントもアルファベットで「RakutenEXPO2017」と記した。例外はあるが、すべてのサービスのブランド名をアルファベットの「Rakuten」に統一した。楽天ブランドを特別なものにしていきたいと考え、FCバルセロナと戦略的なパートナーシップを結んだ。
 FCバルセロナが目指している方向性は、楽天が目指している方向性に極めて近い。アマゾンは自社で販売するのがメインで、足りない部分を店舗に補ってもらおうと考えている。楽天のフィロソフィーは違う。店舗の皆さん一人一人がメッシやネイマール、イニエスタであるという発想で運営している。
 FCバルセロナがニューヨークで行った今シーズン最初の試合も大きな注目を集めた。海外でも楽天のブランド認知が進むだろう。スポーツや社会貢献活動、さまざまな文化活動も含めて楽天ブランドを次のステージに持っていきたい。


■通貨より便利なポイント

 グローバルでブランドを展開していくにあたり、サービスを革新していく必要がある。人工知能を推進したり、ソーシャルを活用したりといったことは、当然やっていく。
 データに基づいたメンバーシップの向上が重要だと考えている。それぞれのユーザーに合わせ、いかに有機的なメンバーシップを展開していくかが極めて重要になってくる。
 ブランドに何百億円と投資しているが、それだけで終わりじゃない。ビジネスに巻き込んでいく仕組みを作っていく。それにより店舗の皆さんの取扱高や財産を2倍、3倍にしていく。
 そのためには楽天市場というスタンドアローンのサービスだけではなかなか難しい。楽天が他社と比べてなぜ特別かというと、総合的にさまざまなサービスを提供しているからだ。強固な顧客基盤を持っており、スマホを使っている人は何らかの形で楽天の会員であると言っていいと思う。
 楽天スーパーポイントはこれまでに1兆円分発行している。昨年は2000億円分のポイントを発行した。将来的には1年間で5000億円、1兆円と増えていくだろう。
 楽天スーパーポイントがなぜ愛されるかというと「使いやすい」からだ。かなりのシーンで楽天スーパーポイントの方が日本円より便利だと思う。現金を持っていてもネットで買い物はできない。街中でも使えるようになっている。全国のローソンでも使え、提携店舗は約66万店もある。クレジットカードの支払いにポイントを充てることもできる。
 楽天スーパーポイントを将来的にブロックチェーンの技術を使い、通貨化していくことも考えている。
 

■世界のIDを統一化

 店舗の皆さんが一番関心を持っているのは、物流や配送についてだろう。タイミングが良く日本郵便と戦略的な提携を結んだ。店舗は魅力的な料金で利用できると思う。独自の配送サービスや楽天ロッカーも含めて物流の効率化を図る。楽天グループとしても総力を結集し、物流の課題解決にまい進したい。
 グローバル化においては、世界中のサービスのIDがバラバラだった。これを一つにする。楽天ユーザーは楽天IDで世界中のサービスが使えるようになる。これにより楽天の店舗の海外販売もますます伸びていく。
 創業以来、楽天への出店は、ネット上の銀座4丁目に店舗を構えることだと言ってきた。店舗によっては上野のアメ横や原宿の竹下通り、秋葉原、大阪の日本橋かもしれない。
 楽天はアルファベットの「Rakuten」になり、世界の一等地へと進化していく。大企業だけが活躍するのではなく、さまざまな形態の企業やブランドが幸せになっていく世界を目指していきたい。

(続きは、「日本ネット経済新聞」8月3日号で)

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