デザイナーズ家具を販売するリグナ(本社東京都、小澤良介社長)は03年に創業し、店舗を組み合わせたEC事業を強化している。実際に家具に触れてみたいという顧客の要望を受け、創業時は、マンションをショールームに使用。14年9月には東京・茅場町に大型実店舗「リグナテラス東京」を開設した。実店舗とネットを組み合わせた戦略で事業を拡大している。現在の取り組みや今後の計画などについて小澤良介社長に聞いた。
デザイン性を重視
─デザイナーズ家具をネット通販で販売したきっかけは。
創業当時の03年は、たんすやベッドなどを安売りしているサイトが、デザイナーズ家具も一緒に販売していることが多くありました。私もそういったサイトを利用していましたが、もっとデザインの洗練されたサイトでデザイナーズ家具を購入したいと思うようになりました。デザイン性の高いサイトで販売すれば他社より売れるのではないかと思ったのがきっかけです。
実店舗は創業当時、マンションの一部屋をショールームとしていました。その後、ショールームは100平方メートル、300平方メートルと徐々に拡大していき、14年9月に茅場町に移転しました。
─大きな実店舗を構えたことのメリットは。
メディアに取り上げられることが多くなり、大型の案件が増えてきました。ホテルやオフィスなど、法人からのトータルコーディネートの依頼が相次いで入ってきます。飲食企業が海外に新規出店する店舗のデザインもありました。確実に認知度が高まっていると感じています。
個人では、通販の注文が増えたほか、店舗で購入する来店客も増えてきました。
─ネットと実店舗の売り上げ比率は。
大きな実店舗を構えたことで、実店舗が順調に伸びています。しかし、ネットを軸にした販売は今後も続けていきます。ネットが現在も約6割を占めています。実店舗はネットだけで購入できない顧客に安心してもらうために、ショールームに近い位置付けとしています。
14年12月期の売り上げは20%増でした。実店舗を茅場町に移転してから売り上げは大幅に伸長しているので、今期はさらに伸びると思います。
─ネットと実店舗の連動はどのようにしていますか。
実店舗の展示品は、ネットで人気のある商品を優先的に並べています。ネットの商品ページは、「東京」と「リクエスト」と書かれた2つのアイコンを表示しています。「東京」は、実店舗で展示している商品、「リクエスト」は展示されていない商品を示しています。「リクエスト」をクリックすると、問い合わせフォームになります。必須項目を記入してもらい、商品を仕入れます。
「リクエスト」が購入に至らないケースもありますが、多くのメリットがあります。商品画像を自社撮影してECサイトのコンテンツ力を強化したり、購入されなかった商品は店頭で展示した後に、仕入れ原価を上回る価格でセール販売していますので、余剰在庫になりません。消費者から求められている商品を販売するという、顧客目線を常に持つことを大事にしています。
─動画や記事などコンテンツに力を入れていますが、反響はありましたか。
現在の店舗をオープンするにあたり、ビルのリノベーション作業の過程をフェイスブックにアップしたり、部屋をデザイナーズ家具で埋め尽くすドッキリを仕掛けた動画を配信したりしました。単純に面白いからやってみようという企画です。
コンテンツを見た人から「古ビルや部屋が、こんなにかっこよくなるんだ」という意見をもらいました。フェイスブックで1万シェアされており、メディアに取り上げられるなど反響は大きいものでした。宣伝効果を狙っていたわけではありませんが、知名度の向上につながったと実感しています。
(続きは日本ネット経済新聞 4月23日号で)
【インタビュー】〈実店舗とネットでデザイナーズ家具を販売〉リグナ 小澤良介代表取締役/顧客目線を常に持っていく
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