【インタビュー】おかん 沢木恵太代表取締役社長/労働環境の変化捉え、売上10倍へ

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沢木恵太代表取締役社長

沢木恵太代表取締役社長

総菜販売の、おかん(本社東京都、沢木恵太社長)は事業開始から2年が経過し、事業が拡大している。14年3月からは、オフィスで働く従業員向けに総菜を販売するBtoE事業を開始。これを機にメディアからの注目が集まり、露出が増えたことでサービスの認知度が向上し、導入企業は現在100社を超えている。今後の事業展開について沢木恵太社長に聞いた。

BtoC開始から2年経過

 ─13年3月に総菜のEC事業をスタートし、2年が経過しました。現状はどうですか。
 開始から2年が経過していますが、ここ最近はBtoE事業による認知の高まりを受けて会員は着実に増えています。定期購入のビジネスモデルですから、いかに継続してもらえるかが重要です。この間、継続して利用していただいているお客さまもいれば、そうでない人もいます。現状では、毎月全体の9割が継続しています。
 継続利用している顧客層をみてみると、主婦や共働き世帯が最も多くなっています。そのほか、大学生の子どもを持つ家族からの仕送りというケースも目立ちます。契約者の年齢で見ると、30~40代の女性が多いという印象です。
 ─BtoCビジネスの成果と課題については。
 一般消費者を対象とする場合、いかにサービスの認知を高めていくかが重要になっています。また、最低限のSEOや広告宣伝は行っていますが、競合がある中での展開は、労力が必要だと感じています。
 経営資源に余裕があり、積極的な投資ができればもっと伸ばせる自信はあります。現在BtoEで売り上げを伸ばしているので、これからも積極的な展開を行うことは可能だと思います。


BtoE事業は100社へ導入

 ─BtoE事業「オフィスおかん」は開始から1年が経過しました。創業当初から法人向けのビジネスは想定していたのですか。
 BtoCで創業した際から、構想はありました。法人向けに展開するためには、準備期間が必要でした。BtoCを行っている際に、法人が購入するケースもあり、ニーズはあると把握していました。
 BtoCは1人でも対応できましたが、BtoEで事業を拡大するには、資金も人員も必要でした。始めるにあたっては、水面下で資金調達の交渉を進めていました。
 ─さまざまなメディアで取り上げられ、BtoEビジネスが注目されているようです。
 多くのメディアに取り上げられ、順調に推移しています。反響が高いということはそれだけ、社内における食事のニーズが高いということだと考えています。BtoEのビジネスモデルとしても、継続率が高く、一定の売り上げが見込めるため、安定しやすいのではないかと手応えを感じています。
 ─新規顧客の開拓はどのように行っているのですか。
 取り上げてもらったメディアからのインバウンドが多いです。また、導入先からの口コミで紹介してもらっています。導入企業が、福利厚生のPRとして「おかん」を導入しましたと宣伝してくれることもあります。
 現在、導入先は100社を超えました。当初、配送エリアを渋谷から開始したこともあり、IT企業からのニーズを捉えました。昨年9月にエリアを23区に広げた結果、製造業やサービス業といった業種からも、利用が広がっています。一つの傾向としては、人材獲得コストが高く、人材の流動が高い業種・業態からの引き合いが多いように思います。なるべく、働きやすさを改善して、離職率を抑えようという狙いもあるようです。これを踏まえ、総務・人事系の人が集まる展示会に出展したり、インバウンドだけではない顧客接点を増やすようにしています。サイト上には、現場の社員が導入したいという声を受け付けるための署名ツール「導入おねだり」を採用しています。同じオフィスで5人以上の署名が集まれば、当社から先方の総務担当者に積極的にアプローチする仕組みです。
 ─企業への配送方法はどのようにされているのですか。
 開始当初は、スタッフが総菜を運んでいました。現在は、3社の配送業者に委託しています。配送業者のすきまの時間を活用することで、好きな時間に運んでもらえ、コストも抑えることができました。BtoCと異なり、再配達の必要もなく、お互いにメリットがあります。
 ─冷蔵庫に補充する仕組みですが、廃棄ロスはどのくらいあるのですか。
 全体で1割に満たず、ほとんどないと考えています。これまでの利用データを蓄積して補充を行っており、その積み重ねがロスの抑制につながっていると思います。

(続きは日本ネット経済新聞 4月16日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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