〈注目サービス〉エボラブルアジア 薛 悠司社長/ベトナムで安価に優秀なエンジニアを活用

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薛 悠司社長

薛 悠司社長

 エボラブルアジア(本社ベトナム ホーチミン、薛悠司社長)は、システムやソフトの開発業務を海外に委託する「オフショア開発」事業で急成長している。同社はベトナムに400人以上のエンジニアを抱えており、クライアントの開発業務を安価に請け負っている。薛(ソル)社長は、ベトナムには日本の開発業務を請け負うための「条件」がそろっているという。エンジニアの人材不足に嘆く国内企業が、ベトナムでオフショア開発を行うメリットを聞いた。

 ─ベトナムでオフショア開発を行うメリットは。
 コストパフォーマンスの高さが魅力だ。ベトナムは東アジアで人件費が4番目に安く、エンジニア人口は中国に次いで2番目に多い。エンジニアのレベルが高いのに人件費が安いのだ。給与以外の設備や諸経費などを含んだ1人あたりの人件費が、国内だと80万円近くかかるといわれているが、ベトナムなら20万円で足りる。さらに、ベトナムでは国家戦略としてエンジニアの育成に注力しており、現在30万人いるといわれるエンジニアを20年までに100万人にまで増やそうとしている。人材供給が豊富であり、優秀な人材を確保できる。
 ─ベトナムのエンジニアは優秀なのか。
 ベトナム人は素直で勤勉だといわれている。組織に従順で日本人の国民性に近い。ベトナムは親日国家。若者たちにとって日系企業で働くことはステータスであり、優秀な人材が集まりやすい。中国もエンジニアは多いが、現在では経済発展により、中国内の開発に従事するケースが増えている。中国のトップクラスの人材は欧米企業か中国企業を志望しており、日本企業が優秀な人材を確保するのは難しいのが現状だ。ベトナムは、IT輸出先の6割が日本であり、国としても日本語教育を強化している。日本企業に向けた優秀な人材が育つ環境が整っている。
 ─御社のサービスの特徴は。
 当社は、受託したクライアントの業務を専属で行うチームをベトナムに設ける「ラボ型開発」を提案している。開発案件ごとに依頼を受けるのではなく、継続的な業務を専属で行うことにより生産性を高めることができる。チームは数人の小規模から作ることができ、事業規模に応じて人員を増やすことができる。当社の日本法人も設立しており、きめ細やかなサポート体制も好評だ。12年にサービスを開始した時は20人程のエンジニアしかいなかったが、今年中には500人規模にまで増える見込みだ。クライアントは50社以上に増えた。サービスの継続率は8割を超える。
 ─システム開発以外に依頼できる業務はあるのか。
 サイトの運営業務などを受託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)にも対応している。EC企業向けには、画像加工や出品登録の業務を受託しているケースもある。セキュリティー環境の整ったベトナムのオフィスで、専属チームに仕事を委託するため、クライアントからも安心して任せられるといわれている。BPOの人件費は1人あたり月間で13万3000円ほどだ。

(続きは本紙12月11日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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