【ベイクルーズ ICT統括/EC統括 村田昭彦取締役】300店舗以上を展開するアパレルメーカー/今期、店舗とECの在庫を連携

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村田昭彦取締役

村田昭彦取締役

全国で300店舗以上を展開するアパレルメーカー、ベイクルーズ(本社東京都、窪田祐社長)のEC事業が成長を続けている。15年8月期におけるグループのEC売上高は前期比36%増の164億円に拡大。今期は年商200億円を狙う。ベイクルーズグループが描くEC戦略について村田昭彦取締役に聞いた。

30ブランドをEC展開

 ─ベイクルーズグループが運営しているECサイトを教えてください。

 「『スタイルクルーズ』の名称で自社サイトを運営しているほか、『ゾゾタウン』『マガシーク』『アイルミネ』『マルイウェブチャネル』などのモールにも出店しています。グループが手掛けている約30のブランドをECで展開しています」
 ─15年8月期のEC売上高は前期比36%増の164億円と好調でした。EC事業が拡大した要因を、どのように分析していますか。
 「増収の要因はいくつかあると思います。これまで取り組んできた細かい施策の積み重ねの成果が現れました。例えば、近年はECの機会損失を低減するため商品供給を強化しています。また、EC事業のチームビルディング(組織作り)に力を注いできたこともEC事業の成長につながっています」

 ─商品供給の強化とは具体的にどのような取り組みですか。

 「例えば、約2年前に自社サイトとモールの在庫を統合し、『ゾゾタウン』以外のECサイトの在庫を一元管理する仕組みに変えました。その結果、ECの機会損失が大幅に減り、売り上げが伸びています。以前はECサイトごとに在庫が分散していたため、あるモールでは在庫が残っているのに、別のモールでは欠品するなど機会損失が発生していました。商品供給の強化は今後も継続的に取り組むべき課題です」
 ─商品供給を強化すればECの売り上げは、さらに伸びると予測しているのでしょうか。
 「現時点では商品供給がEC事業の成長のボトルネックになっているため、今後も需要喚起と並行して商品供給を強化していく必要があります。ベイクルーズグループのアパレル事業におけるEC化率は約20%です。EC化率は当社のKPI(重要経営指標)には位置付けていませんが、ベイクルーズグループの売り上げ規模からすれば、ECの売上高はもっと多くてもいいはずです」

 ─EC事業の組織作りの取り組みや、組織の現状について教えてください。

 「約3年前、ブランドごとに分かれていたEC部門を統合しました。社内のリソースを集中させるとともに、内製化すべき業務と外注した方が効率がよい業務を見直しています。マーケティングやデザイン、撮影、システム開発などは、採用と人材育成により内製化を進めてきました。一方、物流業務などは外注化することで業務効率を高めています」
 「ECサイトの運営やフルフィルメントなどを手掛ける『EC統括』は約70人、CRMシステムや基幹系システムの開発を手掛ける『ICT統括』は約30人という体制です。ECの売り上げを伸ばすには細かい施策の積み重ねが必要です。新しい施策のPDCAを迅速に行える組織を目指しています」

(続きは日本ネット経済新聞 12月3日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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