メルカリ×ヤッホーブルーイング/企業バリューについて対談/ヤッホー井手社長「組織が同じ方向見て増収に」

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 クラフトビールECのヤッホーブルーイング(本社長野県、井手直行社長)と、フリマアプリ最大手のメルカリ(本社東京都、山田進太郎会長兼CEO)は5月11日、都内で対談イベント「ビアトーク〝バリュー〟が誰にもまねできない会社をつくる~」を開催した。ヤッホーブルーイングの井手社長と、メルカリの小泉文明取締役社長兼COOの2人が、組織が共有する価値観(=バリュー)の在り方や重要性についてビール片手に語り合った。
 ヤッホーブルーイングのバリューは(1)革新的行動(2)顔が見える(3)個性的な味ーーーの三つだという。
 一方、メルカリのバリューは(1)GoBold(ゴーボールド、大胆にやろう)(2)AllforOne(オールフォーワン、全ては成功のために)(3)BeProffessional(ビープロフェッショナル、プロフェッショナルであれ)ーーーの三つだとしている。
 井手社長は「90年代後半ごろは、地ビールブームの波に乗って当社の業績も順調に推移していた。ただ、地ビールブームが終わると、業績はどんどん悪化していき、社員もどんどん辞めてしまう状況になった」と振り返った。「当時、当社にはミッション(組織の使命や役割)もビジョン(組織が目指す将来の姿)もバリューもなかった。だから、社員が同じ方向を向いていなかった。私が社長に就任したときに、社員が同じ方向を向くことができるようにした」(井手社長)と話した。「みんなが同じ方向を向く組織をつくれたからこそ、その後、12期連続増収を果たせたのだと思う」と振り返った。
 メルカリの小泉社長は「(当社も)ふわっとしたものしかなかった。入社後最初の仕事としてミッション、ビジョン、バリューの設定を行った。バリューについては、四つ以上は覚えられないと思い、三つにした」と言う。
 対談では、参加者からの質疑応答も行った。「企業理念や行動指針はどうやって社内で浸透させたらいいか」という質問に対してメルカリの小泉社長は、「当社の『GoBold』のような語感の良さは大事だと思う。次第に社員が言葉遊びに使ってくれるようになったりする」とした。ヤッホーブルーイングの井手社長は「諦めない。徹底的にやる。ことあるごとに言う。社内に浸透しないというのは、経営側の本気度が足りないということ」と答えた。
 「バリューを浸透させたことは、業績につながっている。今、振り返ると『ミッション、ビジョン、バリュー』がなかったからダメになっていったのだと思う。地方の中小企業が生き残っていくには、理念が浸透した強いチームで勝っていくしかない」(同)などとも話した。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ