ネット通販売上高調査/アパレル2桁増収目立つ/444社合計は3兆4344億円

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 本紙がまとめたインターネット通販売上高ランキング(2015年度調査)によると、444社の合計売り上げは3兆4344億円となった。前年実績と比較可能な149社で算出した伸長率は8・8%だった。アパレル、靴、ブランド品などファッション分野の2桁増収が目立つ。当社推定値も含め、ネット通販売上高が100億円以上となった企業は前年調査より7社多い71社だった。

【スマホ、SNSで情報発信】
 調査の対象期間は15年4月―16年3月の間に迎えた決算の売り上げ実績。大手EC企業、通販会社のネット部門、モール出店事業者、個人事業主などを対象に「ネット通販売上高」を調査した(モール運営事業者は省略)。ランキングは444社で作成した。
 1位は9年連続でアマゾン(日本事業の本紙推定売り上げ)となった。前期は有料会員「Amazonプライム」向けのサービスを拡充した。その一つが1時間以内配送の「プライムナウ」だ。
 都内8区から11月に開始したサービスのため、年間売り上げに与えるインパクトは小さいと思われるが、今期もスピードにこだわった配送サービスの提供を目指している。米国アマゾンでは、ドローンによる具体的な配送方法も開発されているという。
 今回の調査では初めて、ネット通販売り上げにおけるモール、モバイル、海外の各売り上げ比率もアンケート集計した。
 モバイル売り上げ比率の回答があったのは48社。「楽天市場」におけるモバイル経由の流通総額比率は57・6%に達し、アマゾンの月間ビジター数もPCよりモバイルが2倍近く上回っている中、ファッションなど若年層向けのサイトでは7割以上をモバイルが占めるという回答が得られた。
 スマートフォン(スマホ)の利用拡大に伴い、LINEでキャンペーン情報を発信するなど、スマホ利用者の集客に成功して売り上げが拡大したという声もある。その一方で、PCに比べてスマホは客単価が低い傾向にあり、対策を講じる必要性を感じている企業もあった。

【商品起点の売上拡大】
 海外売り上げ比率については、「海外販売はしていない」「まだ本格展開していない」と回答する企業が多かった。その中でドラッグストアチェーンのキリン堂(本社大阪府)は67.4%に達していると回答。中国大手ECサイト「天猫国際」に出店しており、15年11月の「独身の日セール」では1日で4億5000万円売り上げたという。
 このほか、2桁増収を達成したMonotaRO、ケンコーコム、TUKURU、フェアプレイ、アシックスジャパンなどは、「取扱商品数の拡大」「商品開発による商品力の向上」「独自性の高い自社企画商品が好調」などを要因に挙げた。商品を基軸にして売り上げ拡大が図れたとしている。

(続きは、「日本ネット経済新聞」6月9日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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